知識編

リーン思考のUXデザイン

LEAN UX は、コラボレーションと部門/領域横断的な手法によって、製品の本質を素早く明らかにするための実践的手法であり、これによって文書への過度な依存を減らし、デザイン中の製品の実際のプロダクト・エクスペリエンスへの共通理解を高めるものである。

少しずつ噛み砕いてみる。

LEAN UX の3つの特徴

  1. 文書での情報伝達を不要とし、デザインの中間成果物をつくるプロセスのみに集中する
  2. 部門ごとの縦割りではなく、部門を横断的にコラボレーションすることで透明性のあるチームを編成する
  3. 一人の「ヒーロー」の直感的なアイデアではなく、迅速な実験と測定を繰り返す

LEAN UX の3つの基盤

1. デザイン思考

デザイン思考とは、人々を直感的に観察することを原動力とし、ビジネスのすべての側面にデザイン手法でアプローチする。そして事業戦略を顧客価値と市場機会に変換しながら人々のニーズを満たしていく実践的な考え方。

2. アジャイルソフトウェア開発

  1. プロセスやツールよりも、個人と相互作用
    チーム内での対話を活用する
  2. 詳細で分厚い文書よりも、機能するソフトウェア
    メンバーは誰でも最善の解決策は何かという持論がある。そこで問題になるのが、どの解決策が最も有望であるかの判断だが、機能するソフトウェアを早い段階で開発することで、マーケットへの適合性と実現可能性の面から解決策を評価できる。
  3. 契約交渉よりも、顧客とのコラボレーション
    チーム内や顧客と連携することで、改善案を理解しやすくなり、意思決定も行える。
  4. 計画の順守よりも、変化への対応
    初期のプロダクトデザインには間違いがあり得ることが前提。そのため、できるだけ早く問題点を見つけ出すことが目標。

3. リーン・スタートアップの手法

「構築(build)、計測(measure)、学習(learn)」のフィードバック・ループを用いて、プロジェクトのリスクを減らし、開発と学習を迅速化する。チームはできるだけ早く学習プロセスを開始するためにMVP(実用最小限の製品)を開発する。

LEAN UX の原則

1. 部門/領域横断的なチーム

組織的な領域を超えて部門間での高レベルのコラボレーションが必要。情報伝達プロセスが不要となり、部門の垣根を越えた対話が促進され、各アイデアを共有でき、チームの効率性が大きく高まる。

2. 小規模、専任、同一場所

小さなチームの3つのメリットは「コミュニケーション」「集中」「連帯感」。中心メンバーは10人以下の小規模にし、一つのプロジェクトに専念させ、同じ場所で作業する。そうすることで、常に同じ優先度で業務に取り組むことができ、メンバー間の関係が深まる。

3. 進捗 = 結果(アウトプット)ではなく、成果(アウトカム)

機能やサービスを開発することよりも、それがビジネの成果を基準に進捗を測る。そうすることで、結果のパフォーマンスを踏まえ、その後を客観的に意思決定できる。

4. 課題焦点型のチーム

機能を実装することではなく、ビジネス上の課題を解決することを目標とするチーム。チームは信頼され、当事者意識を持つことができる。

5. 無駄を取り除く

より良い成果を得るため、それに貢献しないものはすべて無駄であるとみなし、チームのプロセスから取り除く。無駄を減らせれば、それだけ前進できる。

6. バッチサイズは小さく

リーン製造手法では、在庫数を削減させ、品質の向上を行う。これをLEAN UX に置き換える。

7. 継続的な発見

ユーザが製品をどのように使っているのか、その理由は何かを理解するため、顧客をデザインと開発のプロセスに継続的に関与させる。この関与は、定量的/定性的に継続して行う。また、チーム全体が関与することで、共に学習でき、報告の必要性を減らすことができる。

8. 新たなユーザ中心思考

どんなに会議室で議論しても有意義な結論は導けない。答えは市場の中にあるからだ。アイデアの段階から顧客の視点でその有効性を評価することで、誰も求めていない製品をつくるという失敗を避けることができる。成否を最終的に決めるのは、チームではなく顧客。

9. 共通理解

共通理解とは、チームが一緒に働きながら、時間をかけて築いていく、集団的な知識。

10. アンチパターン

チームワークを重視。エゴが強く、スターのように振る舞おうとするメンバーが加わるとチームの連帯感が低下し、共通理解を生み出す環境が失われてしまう。

11. 仕事の外面化

メンバーの頭のなかにあるアイデアをチームの目に触れる場所に提示することで、チーム全員が状況を把握しやすくなり、情報を受動的に得られるようになり、新たなアイデアが生まれやすくなる。

12. 分析よりも形にする

シナリオを分析しても答えは導けない。答えは、顧客がその製品を使う現場にある。そのためアイデアを具現化して実際に何かをつくり、顧客の反応を見られるようにする必要がある。

13. 成長よりも学習

開発規模を拡大する前に、アイデアについての正しい理解を得ることに集中することで、多くの投資をするリスクを回避する。

14. 失敗を許容する

アイデアのほとんどは失敗する。その失敗を許容することで、チームは実験的な文化が生じる。実験は創造性を高め、革新的なソリューションをもたらす。

15. 中間成果物中心の仕事の進め方からの脱却

何を開発しようとしているかではなく、どのような成果を達成しようとしているかにフォーカスする。機能確認のための中間成果物をつくるのではなく、製品の質を市場からの反応によって測る。

本書を読み終えて

この記事で紹介したのは、本書の序盤をまとめたにすぎない。さらに実際のアプローチ手法やサンプルも掲載されているので、気になる方はぜひ一読をオススメします。

最近の記事

MacBook Air Mid 2013 を中古で購入して、Big Sur を入れてみた

ソフマップで、MacBook Air Mid 2013 を中古で購入した。なつかしのOS X Lion。だがしかしッ!工場出荷時に初期化してアップデートしよう・・・

徒然なままに

cronっぽいことをPHPでjsonとして実装する

外部のAPIを利用する際、リクエスト回数が制限されることがある。また、リクエスト回数が制限され、かつ毎日更新をルールとする外部のAPIもある。 そんなと・・・

php

Instagram API を使ってインスタに投稿した画像データを取得する

インスタに投稿した画像を自動でホームページでも更新されるようにしたい。もっとも簡単に実現する方法を紹介する。 公式リファレンスInstagram・・・

API

名刺代わりの超絶ミニマムなブランディングページ

このたび、ハンドメイドアクセサリー作家さんのWebサイト制作させていただきました! Sunny Side Accessory(サニーサイド アクセサリー・・・

お仕事・制作日記

インタラクションデザイン

5年くらい前に購入した書籍「インタラクションデザイン」。この書籍内ではたくさんの事例が紹介されている。残念ながらその多くは現在閲覧することができなくなっていた・・・

デザイン

Advanced Custom Fields 名前を変更して、データも反映させる

WordPressを自作する上でもはや欠かせないプラグインの一つが、「Advanced Custom Fields」。 名前を変更しようと思って、Wor・・・

WordPress

配列の重複を削除する

配列の場合 /** * 配列の重複を削除する * * @param {array} ary* * @return {array} 処理後のary・・・

JavaScript

MAMP を 5.7 から 6.2 にアップデートした

5年以上前と比べると、アップデートが簡単で驚く。とくに記事にするまでもないと思いつつ、一応備忘録。 インストールすると、既存のディレクトリはそのままに別・・・

MAMP

Briefly unavailable for scheduled maintenance. Check back in a minute. → . maintenance を削除

プラグインを更新中に、誤って、違うページにアクセスしまいました。すると、管理画面だけでなく、公開中のすべての画面が「briefly unavailable f・・・

WordPress

GulpでERRが出てテンパった → gyp: No Xcode or CLT version detected! → PostCSS plugin autoprefixer requires PostCSS 8

Gulp。いつもは正常に動いている環境をそのままコピーして再利用するようにしている。そうすることで、案件ごとに毎回環境作りをする手間を省くことができ、何よりG・・・

制作効率化

人気の記事

WP_Queryを使って絞り込み検索するのにコレは便利!

めっちゃ参考になるページを見つけた。 絞り込みをするたびに色々ググっていたが、これがあればほとんどのことが解決できそうな気がする。 参考: これは便利!Word・・・

WordPress

overflowをautoにした要素のスクロール位置を変更する → scrollTop scrollLeft

まずはサンプル。 これは、overflowをautoにした要素のスクロール位置を変更するサンプルです。 これは、overflowをautoにした要素のスクロ・・・

JavaScript

iframeの高さを自動調整する

iframeで呼び出した際、iframe自体はスクロールさせずに高さを取得してiframe全体を表示させます。 サンプル:iframeの高さを自動調整するデモ・・・

JavaScript

http://localhost:8888/ → http://localhost/

http://localhost:8888/ での参照ではなく、http://localhost/ で参照できるようにします。 MAMPの設定を変更する M・・・

MAMP

イラストレーターでレイヤーごとにPNGで書き出す

【2020年07月13日】 macOS Catalina(10.15.5) / Adobe iLLustrator 2020(24.2.1) にて動作確認済・・・

Illustorator

favicon.icoをWordPressの管理画面からアップロードできない→ wp-config.php を一時的に修正

いつもは直接アップロードしているので気にしていなかったが、WordPress管理画面のメニュー「メディア」からfavicon.icoをアップロードしようとした・・・

WordPress

アーカイブページでカスタムフィールドやタクソノミーで絞り込みした状態でリスト表示する

<?php $args = array( 'paged' => 1, 'posts_per_page' => 20, 'post・・・

WordPress

管理画面のカスタム投稿一覧で並び順を変更する

WordPressの管理画面。「投稿」や「固定ページ」の一覧は、公開日順に並んでいる。ところが、カスタム投稿を追加した場合、公開順ではなく名前順に並んでいること・・・

WordPress

カウントアップ、カウントダウンするJavaScript

ポイントを使ったり、増やしたりしたときに、結果のポイント数に差し替えるのではなくて、カウントアップしたり、カウントダウンして動的に動かそうと思って作ってみた。・・・

JavaScript

Advanced Custom Fields を使った条件分岐(セレクトボックス、チェックボックス、ラジオボタン、真偽)のテンプレート記述方法

前回、「入力フォームを自由にカスタマイズできる「Advanced Custom Fields」」で基本的なフィールド名を出力方法を紹介したが、今度は条件分岐に関・・・

WordPress

WEB制作WEB設計知識編リーン思考のUXデザイン | シンプルシンプルデザイン